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研究・社会貢献
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科学研究補助金 CaseStudy 5


専門領域を超えたアプローチ法により、
薬剤師が能力を発揮できる環境・仕組みを検討する

臨床薬物動態学ユニット 助手 小山由美

適切な投与量の設定など薬剤師が薬物治療の質保証を担うには、
薬局薬剤師への正確な患者情報の提供が必要

薬局に処方箋を持って行くと薬剤師はいくつか質問します。それは処方された薬がその患者にとって効果的で安全であることを検証するためです。病気で体力の落ちた患者に、病院での会話を再度説明していただくことは患者にとっても薬剤師にとってもつらい事です。一方、患者が医師から聞いた話や説明は100%正確に薬剤師に伝えられるとは限りません。医師の治療方針や患者の診断名を薬剤師に提供する仕組みが構築されていない現在、薬局薬剤師は限られた時間、環境の中で適切な薬剤、投与量の検討などを行っていますが、患者情報を一から収集することに困難を感じています(韓国では2000年の完全医薬分業の改革により処方箋上に診断名が記載されるようになり、より安全な薬物治療が実現されています)。 現在、科学研究費補助金(平成19〜21年度『医療情報の収集および提供時におけるプライバシー保護の指標の検討』)を受け、薬局の医療空間について様々な視点から研究をおこなっています。他の患者を気にすることなく医療に専念できる空間を整備することは患者や薬剤師だけではなく、効果的で効率的な医療の実現に必須なのです。

患者のニーズに応えるため薬学・工学・実務薬剤師の知識の融合を図る

領域を超えた課題であるため、音響構造の専門家に加え実務薬剤師の協力のもと研究を進めています。薬局はふっと立ち寄っても相談に応じてくれる身近な存在ですが、オープンな構造ゆえにプライバシーを保護し難く、患者にとっても薬剤師にとっても話しやすい空間とは言えません。薬剤師および患者を対象とした意見調査の結果を一部紹介しますと、薬局薬剤師は患者のプライバシー問題を認識し配慮・工夫している一方、患者の98%が『薬剤師との会話は他人に聞かれるおそれがある』と感じ『何らかの対策が必要』と希望していることがわかりました。また患者情報の収集・提供時に発生する問題の背景には、プライバシー保護問題、複雑な医療システム、情報共有の課題など複数の要因が存在し、患者自身、医療者自身では解決し難い大きな課題であることが明らかになりました。医療情報を扱う場に相応しい環境の実現には医療現場の問題を包括的に捉えることが重要で、そのため、学問領域の垣根を超えて問題を検討し、保護対策の開発を進めています。

患者にとっては話しやすい、薬剤師にとっては仕事に専念できる空間をデザインする

患者の医療情報は安全な薬物治療を実現するための根幹です。スピーチプライバシーの保護とは、仕事に打ち込める(会話しやすい)環境が保護された“ノーマルプライバシー”と、他人に知られない(聞かれない) 環境が保護された“コンフィデンシャルプライバシー”に分けられ、どちらも患者の医療情報の収集および提供には必須の要素とされています。我々は薬局の社会的責務、機能、音響特性に着目し、薬局の多様性を損なわないスピーチプライバシー対策のあり方を検討しています。特に機能的側面からはローカルルールの構築、物理的側面からは狭小空間でも導入可能な複数の保護対策を図ることが効果的であると考察され、実用化に向け検討を進めています。

写真1~写真3
模擬薬局での検証実験:医療現場に導入可能な対策を考案するため、専門領域を超えた協力体制で研究を進めている。
  • 写真1:漏洩度を検討するため、服薬指導を再現する
  • 写真2:得られたデータの解析
  • 写真3:スピーチプライバシー対策の効果を評価する
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