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研究・社会貢献
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科学研究補助金 CaseStudy26


ラン科セッコク属植物の包括的情報構築と潜在的薬用資源の探索

生体機能化学研究室 助教 高宮知子

薬用資源としてのラン科植物

ラン科植物は700属以上、約2万種からなる非常に多様なグループであり、その中には、世界各地で薬用資源として利用されている種が多くあります。日本でもオニノヤガラ(Gastrodia elata)の塊茎は天麻と呼ばれる生薬であり、漢方薬の半夏白朮天麻湯の調剤に用いられています。その他、白及(シラン:Bletilla striataの球茎)や土通草(ツチアケビ:Cyrtosia septentrionalisの実)もラン科植物から得られる生薬です。

セッコク属(Dendrobium)植物はラン科最大の属の一つであり、およそ1000種がアジアからオセアニアにかけて自生しています。このグループの中にも、伝統医薬や装飾品など、人々の生活に深く関わっている種があります。例えば、石斛(せっこく)は中国で特に人気の高い生薬で、健胃・滋養強壮を目的に使用されています。アジアに自生するおよそ30種のセッコク属植物がこの生薬の原料として用いられています。これらの植物からは多様な化合物が報告されており、その中には、抗炎症作用、抗腫瘍作用、抗酸化作用などの効果を示す化合物があります。一方、オーストラリアに自生するセッコク属の種には、火傷、創傷、および皮膚炎の治療に使われてきた種がありますが、これらの種やその近縁種に対する成分研究はあまり進んでいません。このように、セッコク属は非常に多種多様な植物グループですが、薬用資源として使われている種はごく一部であり、多くの種は薬用資源としての可能性が未知となっています。このような未利用の種の中には、有用な化合物を産生している植物が存在している可能性があります。

研究の目的

私たちは、セッコク属植物に関して、DNA塩基配列を用いた系統解析、形態学による分類、含有成分に基づく化学的な多様性の解析、世界各地の伝統医療における利用法、およびエキスの生物活性を調べることで、新たな薬用資源と生物活性成分の発見を目指しています。

具体的には、セッコク属植物をDNAの塩基配列情報から系統分類し、類縁関係を明らかにします。また、各植物に含まれる化学成分のパターンに基づく系統分類も行います。これにより、セッコク属植物の遺伝的および化学的な類似性の一端が明らかとなり、既知の薬用種との類似度を一つの指標として、新たな薬用資源を探索します。また、植物の分布、形態学的特徴、および二次代謝産物の産生の関連性についても探っていきます。さらに、各地の伝統医療におけるセッコク属植物の利用法を調べて、共通用途の植物に共通に含まれる成分を探索することで、シード化合物の発見を目指します。化合物や植物エキスについては、抗酸化、抗菌、抗炎症などの生物活性試験を行い、有効性を評価していきます。

植物エキスの生物活性を比較し、薬用資源としての可能性を探る

社会への貢献

私たちが今までに行った実験結果から、薬用植物としてまだ利用されていない種の中には、既知の薬用種よりも高い抗酸化活性を示す種がありました。今後、さらに多くの種を解析していくことで、有効成分を多く含み、栽培しやすいなどの利用価値の高い植物を見出すことを目指します。本研究を遂行することによって、異なる複数の尺度から明らかになるセッコク属の多様性と特性に関する情報が得られ、将来的には薬用植物の品質を評価する鑑定手法の開発に応用可能だと考えています。これは現在懸念されている市場での偽物の流通の阻止、さらには希少な野生種の乱獲防止に繋がると期待しています。
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