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研究・社会貢献
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科学研究補助金 CaseStudy28


糖尿病における海馬機能低下の腎不全による 修飾:小胞体ストレスの関与

薬理学研究室 助教 小菅康弘
ライフスタイルの変化により糖尿病をはじめとする生活習慣病患者数は増加の一途を辿っています。糖尿病は、慢性的な高血糖の結果、特有の糖尿病合併症をもたらす病気です。なかでも、網膜症、腎症、神経障害は三大合併症として知られており、これらの合併症が、患者の生命予後や生活の質(QOL)に大きな影響を及ぼすことは周知の事実です。糖尿病は鬱病や認知症といった海馬の機能低下が関与する疾患を誘発・増悪する要因の1つとなることが報告されていますが、その詳細なメカニズムについては不明な点が多く、これらを治療する方法も確立されていないのが現状です。糖尿病だけでなく、近年、腎機能障害も認知症の危険因子となることが指摘されています。特に、慢性腎臓病(CKD)患者の約80%に認知機能の異常が見られ、CKDが重症化するにつれ認知機能障害が増加するとの報告もあります。そこで、私たちの研究グループでは、CKDの代表例である糖尿病性腎症による腎不全が引き起こす海馬機能低下のメカニズムを解明すれば、糖尿病に限らず、CKDに伴う認知症に有効な治療薬となるのではないかと期待して研究に取り組んでいます。

特に、今回の研究では、小胞体の機能異常によって生じる「小胞体ストレス」に着目して研究を進めています。小胞体は、生合成された分泌タンパク質や膜貫通タンパク質が規則正しく折り畳まれ、立体構造を整える場であるとともに、細胞内カルシウムの貯蔵・遊離や脂質代謝などにおいてきわめて重要な役割を果たす細胞内小器官(オルガネラ)です。そのため、小胞体の機能に何らかの障害が起こると小胞体ストレス機構と呼ばれる一連のカスケードが活性化され、細胞は機能障害や細胞死を引き起こします。近年、この小胞体ストレスは、アルツハイマー病やパーキンソン病などの神経変性疾患、心筋梗塞や脳梗塞などの虚血性疾患、糖尿病、悪性腫瘍など多くの疾患の発症や進行に重要な役割を演じているだけでなく、肥満や骨代謝にも関連することが明らかにされつつあります。私たちの研究グループでは、これまでに、成熟ニンニクエキス中に含まれるS-allyl-L-cysteine (SAC)がこの小胞体ストレスを抑制することで神経細胞を保護することを報告しています(Kosuge et al, 2003)。また、放線菌が産生する抗腫瘍性抗生物質のMithramycin(MTM)にも強力な小胞体ストレス誘発細胞死抑制があることを明らかにしています(Kosuge et al, 2011)。これらの小胞体ストレス細胞死抑制作用を持つ低分子化合物であるSACやMTMなどをツールとして用いることにより、糖尿病において認められる海馬機能障害における慢性腎不全が担う役割を解き明かすとともに、治療薬開発を目指し研究を進めています。

参考:
  • Kosuge Y. et al., (2003) S-allyl-L-cysteine selectively protects cultured rat hippocampal neurons from amyloid β-protein- and tunicamycin-induced neuronal death. Neuroscience. 122(4), 885-895.
  • Kosuge Y. et al., (2011) Neuroprotective effect of mithramycin against endoplasmic reticulum stress-induced neurotoxicity in organotypic hippocampal slice cultures. Neuropharmacology. 61(1-2), 252-261.
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