相手の立場で考える
姿勢を貫き
地域に根付いた経営を展開
経営
薬学部薬学科2016年卒業
株式会社岡澤薬局 勤務 Oさん
一人ひとりに寄り添う薬局を志し独立
私は日本大学薬学部を卒業後、新卒で大手ドラッグストアチェーンに調剤専門薬剤師として入社しました。接客のノウハウなど学ぶところも多く安定した経営基盤にも魅力を感じていたのですが、仕事を続ける中で、自分自身が理想とする薬剤師像が具体的になり、それを実現するには独立するのが一番という考えから、2022年に株式会社岡澤薬局を北総線「白井」駅の前に開業しました。企業の規模が大きくなると、人件費に対する費用対効果を前提に考えた体制づくりになり、どうしても人手不足から患者さんへの対応が手薄になってしまう懸念が生じます。そのような状況を目の当たりにするなかで「患者さん一人ひとりと向き合うことが大前提としてあり、利益はその結果として生まれるもの」という発想で仕事をしたいと思うようになり、独立開業に至りました。
恩師の「相手の立場で考える姿勢」が行動指針に
学生時代は特に「健康・スポーツ科学研究室」での活動が印象に残っています。以前からソフトテニスをプレーしてきた私は、人間とスポーツの関わりに興味があり、卒業研究では「なぜ人間は運動したいと思うのか」といったテーマに取り組みました。根源的なテーマだったので説得力をだすのが難しかったのですが、先生のサポートのもと、完成に漕ぎ着くことができました。また先生には、研究に関する内容だけでなく、学生生活や進路など、さまざまなことで相談に乗っていただきました。一時、公務員の道を考えていた時期があり、その際も私の志向や適性などを踏まえて適切なアドバイスをくださいました。いつも学生の立場に立って一緒に考えてくれたことが印象的で、そうした先生の姿勢は、今も患者さんやスタッフとの接し方の指針になっています。また、学部卒業時点では、開業しようという考えはありませんでしたが、日本大学薬学部には経営に関する科目もあり、振り返るとそこで学んだ知識も今役立っています。
「目の前にいる患者さんのための薬局」がモットー
「相手の立場に立って考える」ということでは、特に患者さんの状況に合わせた配慮を大切にしています。たとえば、睡眠薬などメンタルヘルスに関わる疾患で処方される薬は、周りに飲んでいることを知られたくないと思う患者さんが多くいます。オープンなスペースでの服薬指導も、意図的に「眠剤」ではなく「寝る前のお薬」と置き換えれば、万が一他の患者さんの耳にとまっても無用な憶測を防ぐことができます。専門用語はできるだけ避け患者さんが理解しやすい言葉を選ぶことも心がけています。また、「患者さんをできるだけお待たせしない」取り組みにも力を入れています。その一つがLINEで処方箋を送信できるシステム。患者さんが来局される前に処方箋の内容を確認できれば予め薬の準備ができ、来局からお渡しまでにかかる時間を大幅に短縮できます。特に、調剤にお時間をいただく粉薬が多いお子さまの薬では、待ち時間短縮の効果を大きく実感しています。
患者さんが安心して利用できる地域の薬局でありたい
当薬局にいらっしゃる患者さんの8割以上がお年寄りです。中には「とにかく早く薬を渡してほしい」といった患者さんもいらっしゃいますが、薬剤師とのコミュニケーションを楽しみの一つに来局される方も多くいらっしゃいます。千葉県で生まれ育った私には、「千葉県で人々の健康を支えたい」という思いが強くあります。プライベートで地域の方とテニスを楽しむ機会もあり、常に地域の一員として皆さまに近い存在であれればと考えています。現在は薬剤師が私一人の体制ですが、さらに患者さんへの支援を充実させるため、今後は薬剤師を二人体制に移行することも検討しています。ただ積極的に事業を拡大しようという発想はなく、あくまで患者さんが相談できる地域の人に身近な薬局として社会に貢献していければと考えています。
研究者、教育者の
二軸を大事に
日々の職務に取り組む
薬学部薬学科2022年卒業
日本大学薬学部 勤務 Sさん
教員として研究活動と学生の学修支援に従事
学部時代に所属していた薬品分子化学研究室の恩師にお声かけいただき、日本大学薬学部卒業後から助教として勤務しています。現在の仕事内容は、有機合成反応の研究と学生の学修サポート。関心のあるテーマとまっすぐに向き合うことができ、もともと好きだった教えることにも取り組める環境は願ってもないものだと感じています。有機合成反応の研究は日々試行錯誤の繰り返しですが、目的化合物の合成に一歩でも近づくことができた瞬間には大きな喜びがあります。学修サポートの仕事については、所属研究室の学生に対するサポートが主で、自身が国家試験を乗り越えた経験も踏まえながらアドバイスをしています。「解らなかった問題が理解できた」と言ってもらえるのはうれしいですし、国家試験を前にプレッシャーを感じる学生に寄り添えることにもやりがいを感じています。
多様な刺激を受けながら視野を広げられた
日本大学薬学部に入学したのは、小さい頃から好きだった化学を追究したいと考えたからでした。高校生だった当時はそこまで自分のキャリアを具体的に描けていたわけではありませんが、薬剤師の資格を取得することで将来の選択肢を広げられるという期待もありました。日本大学薬学部には、医学部や看護専門学校といった他の医療系の学部と共同で実施する多職種連携のプログラムがあります。付属病院があるほか、病院や薬局での実務経験がある先生方が多く、多様な刺激を受けながら学べる環境が日本大学を選んだ決め手でした。現在の研究室での恩師との出会いが今のキャリアにつながったことはもちろんですが、それと同時に、総合大学ならではのスケールメリットを生かした学びで視野を広げられたことも、今の私の土台になっています。
創薬につながる、化学反応の基礎を築く
私が薬品分子化学研究室で取り組んでいるのは、創薬につながる化学反応の基礎研究です。現在は、これまでにない有用な反応の探索をはじめ、必要な効果を示す立体構造だけを狙って作り出す「不斉(ふせい)合成法」の開発、自然界で見つかった有用な化合物の化学的な合成法の探索、さらには目的の反応を手助けする「新規触媒」の開発など、幅広いテーマで研究を行っています。また、SDGsの観点から、化学合成に不可欠な消費エネルギーを削減し、環境負荷の少ないプロセスを視野に入れた研究にも力を入れています。まだ発展途上の段階にあるテーマも多くありますが、研究の精度をさらに上げて確かな成果をまとめ、創薬の発展に寄与することが研究者としての目標です。
母校の教員として後輩の支えになりたい
私は、学生への学修指導を研究と同じくらい大事だと考えています。もともと人に教えることが好きで、小学校時代から友人に「勉強のわからないところを教えてほしい」と頼まれる機会がよくありました。そうしたこともあって、学生時代は塾講師のアルバイトをしていました。私が専門とする有機化学は、薬学部生であっても苦手とする人も多くいるので、その苦手意識を減らすことで、CBTや薬剤師国家試験の「化学」の成績の底上げにつなげたいと思っています。その結果として国家試験の合格率の向上や、日本大学薬学部の魅力をさらに高めることにも寄与できれば嬉しいです。学生にとって私は同じキャンパスで学んだ同門になるので、後輩をサポートすることで母校に恩返ししたいという思いもあります。研究者として、教育者としてさらに成長できるよう、精進する所存です。
幅広い仕事に
触れられる環境が
MRへの道を開いた
薬学部薬学科2025年卒業
クラシエ薬品株式会社 勤務 Kさん
有益な情報提供をめざす日々にやりがいを実感
MRとして自社の漢方薬品に関する情報提供や適正使用のサポートを行っています。現在は栃木県のエリアを担当し、総合病院からまちのクリニックまで、さまざまな規模の医療機関の医師や薬剤師に対し、説明会や勉強会、個別の説明といった形で提案しています。仕事の中で大切にしているのは、対話を通じて課題を引き出し、医師や薬剤師、医療現場の状況やニーズに合わせた提案をすること。産婦人科や脳神経外科といった診療科によっても漢方治療に関する課題意識は異なりますし、漢方薬は医療の専門職であれば誰もが精通しているわけではないので、関心の高さや理解度に合わせて説明の仕方を変える必要があります。最適な提案をするための準備はやり過ぎてもやり過ぎることはありません。まだ経験は浅いですが、意図が医師や薬剤師に伝わり、導入につながったときの喜びは他に代えられないものがあり、より精度の高い提案をめざす日々には大きなやりがいを感じています。
学内のプログラムが視野を広げるきっかけに
私がMRを志したきっかけは、大学4年次の学内での就職説明会でした。そのプログラムは、病院や薬局、企業の担当者が日本大学薬学部に訪れ仕事の内容を説明してくれるというもので、そのうちの1社が今の勤務先であるクラシエ薬品株式会社でした。当時の私は、「薬学部だから病院か薬局に就職するのだろう」と漠然と考えていたのですが、時代に合わせて柔軟に変化しようとする会社のビジョンに触れ、MRも進路の選択肢の一つとして考えるようになりました。5年次には薬局と病院での実務実習に臨み、目の前の患者さんを支援する仕事内容にあらためてやりがいを見出したのですが、患者さんにとって有用な薬物治療を世の中に広め、多くの患者さんの健康に貢献するアプローチの方がより私が取り組みたいことだと考え、最終的にはMRに絞りました。日本大学薬学部では、病院や薬局だけでなく企業の就職にも対応したサポート体制が整っており、経験・実績が豊富なカウンセラーがいるキャリア・カウンセリング・ルームでエントリーシートの添削や模擬面接等をしていただくなど、内定まで手厚く支援いただけたのもありがたかったです。
豊富なプレゼンテーションの経験が今に生きている
日本大学薬学部では、研究室や授業でのプレゼンテーションの機会が多かったと感じています。もともと私は人前で話すことがあまり得意ではなかったのですが、インターンシップで他の学生に遅れをとってしまう自分に危機感を感じ、奮起して学部での学びでも発表する役を積極的に引き受けるようになりました。実際にやってみると、自分の考えが相手にきちんと伝わることが楽しいと感じるようになり、いっそう積極的に取り組めるようになりました。また研究室では、与えられた時間内で話すことが義務づけられていたので、アイスブレイクから前談、結論までの時間配分を意識して話す力が鍛えられました。現在の仕事でもプレゼンテーションを行う機会が多くあり、制限時間内で効果的に伝える上で、学生時代の学びは大いに役立っています。
確かな知識に基づき価値ある情報を提供できるMRになりたい
対象となる疾患や薬効が明確な西洋医療の薬と異なり、東洋医療由来の漢方薬は、薬効が幅広く、一つの薬をさまざまな診療科に提案できるという特徴があります。医師や薬剤師の中には漢方に精通した方もいて、そうした方が東洋医療的な考え方をするのに対し、それほど精通していない方は西洋医療的な考え方をする傾向があります。薬の有用性を理解いただくためには、そこを踏まえてお話しすることがとても重要で、目測を誤ると伝わりにくい説明になってしまいます。西洋医療の薬とは異なる提案の仕方が必要になるのは、漢方薬の難しさでありおもしろさであると感じています。まずはさらに経験を積みながら漢方認定薬剤師の資格取得にも挑戦し、より広がりと深さのある知識に基づいた価値ある情報提供ができるMRをめざしたいと考えています。
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