薬剤学研究室の長友太希助教らの研究成果がEuropean Journal of Pharmaceutics and Biopharmaceutics誌に掲載されました
薬学部薬剤学研究室および医薬品化学研究室の内山教授、及川専任講師らの研究グループは、水溶性の低い抗てんかん薬フェニトイン(PHT)について、アミノ酸の一種であるL-アルギニンと組み合わせた共非晶質を調製することで、PHTの溶解性を改善し、経鼻投与による脳への薬物送達性を向上させることに成功しました。
てんかん発作は、脳内の異常な神経活動により、痙攣や意識障害などを引き起こす緊急性の高い病態であり、発作時には抗てんかん薬を速やかに脳へ到達させることが重要です。現在、フェニトインナトリウムは、てんかん重積状態などに対して静脈内注射により使用されていますが、血管確保を必要とする侵襲的な投与法であり、原則として医療機関における処置が必要となります。そのため、発作発現時に患者自身や介護者が迅速に対応することは容易ではありません。これに対し、経鼻製剤は注射を必要とせず、比較的簡便に投与できる方法であることから、救急医療や在宅医療における新たな薬物投与経路として期待されています。さらに、鼻腔から脳への薬物送達経路を利用することで、薬物を脳へ効率的に届けられる可能性があります。
しかし、PHTは水への溶解性が低いため、そのままでは経鼻投与後に十分な量を溶解・吸収させ、脳へ効率的に送達することが困難でした。そこで本研究グループは、PHTの溶解性を改善するためにL-アルギニンとの共非晶質を調製し、マウスに経鼻投与して脳内への薬物移行性を評価しました。その結果、共非晶質化によりPHTの溶解性が向上し、脳内へのPHT移行量が有意に増加することが明らかになりました。
本研究成果は、難溶性薬物の経鼻投与製剤に共非晶質技術を応用することで、脳への薬物送達性を高められる可能性を示したものです。今後、てんかん発作をはじめとする脳疾患に対し、より迅速かつ低侵襲に薬物を届ける経鼻投与製剤の開発に寄与することが期待されます。
本研究は以下の助成を受けて実施されました。
令和6年度 若手研究者助成金(研究代表者:長友太希)
令和6年度 研究推進・研究奨励助成金(研究代表者:長友太希)
令和5~7年度 科学研究費助成事業(科研費)基盤研究(C)(研究代表者:長友太希)
論文情報
論文タイトル:
Preferential nose-to-brain delivery of phenytoin via an intranasal phenytoin–arginine co-amorphous system
著者:
Taiki Nagatomo, Hiroteru Irino, Yuiko Kanbara, Kanon Nagasawa, Naoki Oikawa, Taketo Uchiyama, Naoto Suzuki, Toyofumi Suzuki
雑誌名:
European Journal of Pharmaceutics and Biopharmaceutics (IF:5.0,2025 Journal Citation Reports)
原文は以下のリンクをご覧ください。
https://doi.org/10.1016/j.ejpb.2026.115148
てんかん発作は、脳内の異常な神経活動により、痙攣や意識障害などを引き起こす緊急性の高い病態であり、発作時には抗てんかん薬を速やかに脳へ到達させることが重要です。現在、フェニトインナトリウムは、てんかん重積状態などに対して静脈内注射により使用されていますが、血管確保を必要とする侵襲的な投与法であり、原則として医療機関における処置が必要となります。そのため、発作発現時に患者自身や介護者が迅速に対応することは容易ではありません。これに対し、経鼻製剤は注射を必要とせず、比較的簡便に投与できる方法であることから、救急医療や在宅医療における新たな薬物投与経路として期待されています。さらに、鼻腔から脳への薬物送達経路を利用することで、薬物を脳へ効率的に届けられる可能性があります。
しかし、PHTは水への溶解性が低いため、そのままでは経鼻投与後に十分な量を溶解・吸収させ、脳へ効率的に送達することが困難でした。そこで本研究グループは、PHTの溶解性を改善するためにL-アルギニンとの共非晶質を調製し、マウスに経鼻投与して脳内への薬物移行性を評価しました。その結果、共非晶質化によりPHTの溶解性が向上し、脳内へのPHT移行量が有意に増加することが明らかになりました。
本研究成果は、難溶性薬物の経鼻投与製剤に共非晶質技術を応用することで、脳への薬物送達性を高められる可能性を示したものです。今後、てんかん発作をはじめとする脳疾患に対し、より迅速かつ低侵襲に薬物を届ける経鼻投与製剤の開発に寄与することが期待されます。
本研究は以下の助成を受けて実施されました。
令和6年度 若手研究者助成金(研究代表者:長友太希)
令和6年度 研究推進・研究奨励助成金(研究代表者:長友太希)
令和5~7年度 科学研究費助成事業(科研費)基盤研究(C)(研究代表者:長友太希)
論文情報
論文タイトル:
Preferential nose-to-brain delivery of phenytoin via an intranasal phenytoin–arginine co-amorphous system
著者:
Taiki Nagatomo, Hiroteru Irino, Yuiko Kanbara, Kanon Nagasawa, Naoki Oikawa, Taketo Uchiyama, Naoto Suzuki, Toyofumi Suzuki
雑誌名:
European Journal of Pharmaceutics and Biopharmaceutics (IF:5.0,2025 Journal Citation Reports)
原文は以下のリンクをご覧ください。
https://doi.org/10.1016/j.ejpb.2026.115148






