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研究・社会貢献

科研費 CaseStudy 4


医療保険に新医薬品を
採用するための増分費用効果比に基づく判断基準の作成

薬事管理学ユニット 教授 白神誠

研究の目的

以下の式で表わされる新医薬品の従来の治療法に対する増分費用効果比を求め、その額が一定額以下であれば、その新医薬品を医療保険制度の対象として認めてもよいとする考え方が欧米では広く取り入れられているが、問題は、「一定額」をどのように決めるかである。

この一定額を決める試みとして、我が国特有の薬価制度の下での類似薬効比較方式による薬価算定額に注目した。増分費用効果比の「一定値」(=限界値)は、対象とする疾病の重篤さ、期待される効果がもたらす改善の程度等により分類する必要があるように思われることから各種新医薬品について解析を行い、その結果を踏まえ適切なグループ分け、及びそのグループごとの限界値の設定を行う。

研究の成果

5成分が市場に導入されているスタチン製剤では、最初に導入されたプラバスタチンからの1日当たりの増分費用効果比をみると、0円、18円、36円、36円となり、0円となったフルバスタチンの増分効果を差し引いたネットの増分効果について再計算すると、22円、48円、52円と比較的近い値が得られた(図1)。
次に平成9年6月以降薬価基準に新たに収載され比較臨床試験の結果が入手できた248成分について、治療目標に到達した患者の割合を効果とした増分比用効果比を求め分析を行ったが、新医薬品を医療保険の対象とすべきかどうかを判断するための指標となる限界値を求めるまでには至らなかった。しかし効用値に基づく疾患の重症度を踏まえた検討を行うことで、適切な分類が可能となる可能性が示唆され、現在検討を続けている。

研究の社会的意義

新医薬品について増分費用効果比の限界値を求めることができれば、今後新医薬品の薬価算定に利用できる。これは、新医薬品について価値に見合った価格を設定できるとともに、医療保険として受け入れ可能な価格を設定できることを意味する。これにより新医薬品の開発が促進されることも期待される。
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