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平成20年度実施状況(第115~120回)



第115回│手術室における薬剤師業務

実施日 平成20年5月8日(木曜日)18時00分〜20時00分
講師 東京女子医科大学病院薬剤部 小西寿子 氏
近年、麻薬・向精神薬などの盗難事件や医療事故、また最近では麻酔科医不足を耳にする。麻酔領域の医療技術の進歩により麻酔時に使用する医薬品が多様化し、手術分野においても医療機器の著しい発展により、医師や看護師にも専門性が求められるようになった。このような状況の中でチーム医療を推進すべく医薬品管理・情報提供に関して専門家である薬剤師に強く求められてきている。
手術室では麻薬、筋弛緩薬などの毒薬、向精神薬、習慣性医薬品を含む麻酔薬など薬理作用の強い薬剤や依存性のある薬剤が多く使用され、リスクの高い医薬品が取り扱われており厳重な管理が要求される。さらに、医療従事者の薬物乱用や薬物依存が社会問題化し、保管に関しても厳密な対応をとらなければならなくなった。また経済面においては、今後の手術部門の包括医療の可能性もあり、考慮する必要がある。

東京女子医科大学病院(以下、当院)においては、医薬品のより安全な管理と適正使用に向けて、2002年9月より中央手術部に、2003年12月より西病棟手術部(前・研究所手術部)に、それぞれ薬剤師1名が日勤時間帯に常駐するサテライトファーマシーを開設した。当院の中央手術部と西病棟手術部合わせて21ルームで運営され、年間約1万件の手術が行われており、循環器外科、消化器外科、脳神経外科、皮膚科、口腔外科、糖尿病に関する手術は西病棟手術部で、それ以外の診療科の手術は中央手術部で行っている。

今回は、当院手術室における医薬品管理の現状と工夫点、手術室ならではの医薬品情報、常駐によるメリットなどについて紹介すると共にサテライトファーマシーIT化によりリスクマネジメントを強化したことを併せて紹介する。

第116回│臨床で使う輸液の知識

実施日 平成20年7月10日(木曜日)18時00分〜20時00分
講師 日本大学薬学部 臨床医学ユニット教授 日本大学医学部小児科兼担教授 鈴木孝
輸液は多くの目的のもとに行われています。水分・電解質補充から始まって、アルブミンなどの分画製剤の補充などです。しかし、これらの補充は、患者の持つ疾患の特異性や病態の変化に応じて行われます。また、これらの病態には小児特有のものも含まれます。

以上のことから、輸液の基礎的知識の理解から始まって、小児の病態を考慮した輸液の原則、電解質(ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウムなど)・アルブミンの補正法、中心静脈栄養における投与の実際などについて概説したいと思います。
 
また、今回はより実践的なことを重視して、輸液に関する臨床的な演習問題も準備しますので、いっしょに解いてみましょう。

第117回│コーチング

実施日 平成20年9月11日(木曜日)18時00分〜20時00分
講師 日本大学医学部付属板橋病院 早坂正敏
コーチングとは、ひとりひとりだれもが持っている可能性、自主性、能力を最大限に引き出し、「その人が求める答えは、その人の中にある」を前提として、自己実現をサポートする双方向性のコミュニケーションスキルです。

現在の医療において、「コンプライアンス」ではなく「アドヒアランス」という考え方が主流になりつつあります。コンプライアンスは、医師や薬剤師といった医療者側が患者に服薬を遵守させるという考え方で、医療者側が主体で患者側が従うだけという受動的な感じであり、医療者側から患者側への一方向的な情報の流れです。

アドヒアランスは、患者が積極的に治療方針の決定に参加し、その決定に従って治療を実施、継続するという考え方です。くすりの効能効果や副作用について十分な説明を受け、納得したうえで、「くすりを飲むことは自分で決めたこと」と患者自身が服薬意義を理解し、主体的、積極的、能動的に服薬することです。つまりアドヒアランスでは個人の意志決定が尊重され、患者の積極的な役割が重視されます。

薬剤師は、患者自身が積極的に治療に参加するよう喚起することが重要であり、飲み忘れがある場合はその要因は何か、それを解決するためには何が必要なのかなどを患者とともに考え、相談しながら解決しなくてはなりません。これはコーチングの概念と同じです。

今回はコーチングの基本となる考え方や薬剤師業務で活用できるコーチングスキルについて紹介します。

第118回│医薬品情報を理解するための基礎知識

実施日 平成20年11月6日(木曜日)18時00分〜20時00分
講師 順天堂大学医学部附属順天堂浦安病院 薬剤科長 小清水敏昌 氏
医薬品に関する情報は多岐に渡っている。医療現場においては、有効性、安全性を始め品質や使用性まで幅広い情報が求められる。また、最近では遺伝子情報を基にした新薬も登場しており、従来の医薬品とは異なった薬理作用や副作用などを持っている。したがって、ゲノム技術によって開発された抗体医薬などの医薬品情報はきちんと整理し理解しておくことも必要となってきた。

もともと医薬品は開発から販売までには幾多のハードルが用意され、それらをクリアーしなければ次の段階には進めない。いわゆる、研究開発、前臨床試験、臨床試験、製造申請、製造販売後の調査、再審査や再評価などを経るために長い時間と経費が必要とされる。その理由はヒトに使用される化学物質であることから、薬事法などの他、多くの法律によって医薬品の有効性や安全性などが確保されるからである。こうした医薬品が臨床の現場で使用されるに当たり、添付文書、インタビューフォームを始め各種、多量の医薬品情報が提供されているのが現状である。

一方、わが国の医療機関における医薬品情報活動が始まったのは1963年のことである。当時はまだ少数の医療機関でのみ活動していなかったものの、以来45年間が経過し、現在では多くの医療機関で医薬品情報に関する活動が行われている。

医薬品情報活動は情報の収集、評価、保管、提供などの段階があり、それぞれにおいて工夫が必要である。これら一連の作業において知っておくべき重要な事柄などについて解説し、医薬品情報そのものやバックグランドなどを理解していただき、患者さんや医師などの医療従事者へ活用できることを期待したい。

第119回│慢性腎臓病と生活習慣病 —薬剤師の役割—

実施日 平成21年1月15日(木曜日)18時00分〜20時00分
講師 新松戸中央総合病院 内科部長 中村司 氏
慢性腎臓病(以下CKD)と生活習慣病が現在注目されています。今回以下の観点を中心にお話させていただき、薬剤師の役割に関して考えていただけましたら幸いです。
  1. CKDとは何か:日本腎臓学会では2008年にCKD診療ガイドを出版していますが、12月現在14万部の売り上げがあるほど注目されています。はじめにCKDとは何かを知っていただく必要があります。
  2. CKDの重要性:なぜCKDが注目されているか。1番大きなポイントかもしれません。
  3. CKDと心血管病との関係:腎臓と心臓がいかに密接に関連しているか。CKDは腎臓だけではなく1番重要な臓器である心臓との関連をご理解いただきたいと思います。
  4. 蛋白尿の重要性:検尿の意義について考えましょう。
  5. CKDと生活習慣病との関係:メタボリック症候群との関係は?お互いに密接な関連があります。
  6. タバコ、肥満とCKD:タバコ、肥満が腎臓にどのような影響を与えるか最新のデータを(演者らの成績も含めて)供覧します。
  7. インシュリン抵抗性とCKD:両者はいかに密接に関連しているか、インシュリン抵抗性改善薬ピオグリタゾンのCKD治療への応用は?演者らの成績を供覧します。
  8. CKD患者2症例の症例検討:糖尿病症例と非糖尿病症例の経過を示し、どのような目的でどのような薬剤が使用されているか、また、服薬指導を薬剤師がどのようにしていくかなどを考えます。すなわち、実践に沿って投薬を勉強します。
  9. Ca拮抗薬とCKD:CKD診療ガイドでは降圧剤の第一選択はARBもしくはACEI使用を推奨していますが、Ca拮抗剤のCKD患者に投与するケースは?
  10. 糖尿病性腎症とは:現在透析患者数は増加していますが、その1番多い原因疾患は糖尿病性腎症です。糖尿病性腎症とはなにか、どういう経過をとるかなどを勉強します。
  11. 糖尿病性腎症の腎生検の組織は?:実際、新松戸中央総合病院で施行された腎生検組織のスライドを供覧し、正常と何が異なるかを考えます。
  12. 脂質管理:CKDの進展に脂質が強く関与することが知られています。いかに脂質異常を是正するか実際の演者らの成績を供覧します。
  13. 貧血管理:CKDが進行すると貧血も進行します。貧血を放置しますと心臓など他の臓器障害も起こります。腎性貧血の治療薬であるエリスロポエチンが腎障害をどのように改善するか?
  14. 尿毒素の管理:腎不全が進行しますと尿毒素がたまってきます。全身のかゆみ、めまい、頭痛、はきけなど種々の症状が出現します。現在クレメジンが尿毒素の吸着に投与されています。クレメジンの腎臓への影響に関して演者らの成績を供覧します。
  15. 最後に全体のまとめとともに、薬剤師がCKD対策で求められるスキルをいっしょに考えたいと思います。現在の医療はチーム医療であり、医師主体から、薬剤師、看護士、検査技師、放射線技師、栄養士など多数のスタッフと共同する医療でなくてはなりません。特に、薬剤を直接取り扱う薬剤師の使命は重要となり、今後の医療の中心になるべく勉強していただければ幸いです。

第120回│薬剤師を取り巻く改革の動向 −最近の医薬行政と薬剤師生涯教育

実施日 平成21年3月12日(木曜日)18時00分〜20時00分
講師 日本大学薬学部薬剤師教育センター 教授 日髙慎二
平成15年3月に示された政府の「医療制度改革の基本方針」に沿って、様々な制度改革が進められてきました。医療を取り巻く環境の変革の時を迎え、薬剤師を取り巻く環境も著しく変化しているところです。これまでの制度改革では、患者本位の医療の実現を目指し、良質な医療を提供する体制の確立を図るため、医療法、薬事法、薬剤師法の一部改正が行われてきました。薬局を例に挙げると、医療提供施設として位置づけられ、医療計画での医療連携体制への参画、施設機能に関する情報の公表、安全管理体制の整備および医薬品に係る情報提供・相談体制の整備などがあります。すなわち、薬局は医薬品等の供給拠点として地域医療により貢献することが期待されています。地域の医療連携体制の確立という点では、病院薬剤師との連携もますます重要となることでしょう。合わせて、患者のQOLの維持向上の観点から、在宅医療について多職種が協働して患者を支える体制が推進され、薬剤師の役割も以前にも増して社会から評価されるようになりました。

一方、医療に従事する者の資質向上を図るため、平成20年4月に薬剤師法が改正され、行政処分や再教育の義務化に関する法律が施行されています。この仕組みについては、医療提供体制の改革の一環と同時に、薬学教育6年制に関する検討事項として附帯決議がなされ、整備されたものです。また、薬剤師の資質の向上に関する取り組みについては、これからの薬学教育において医療の担い手にふさわしい質の高い薬剤師を養成するという趣旨を鑑み、これまでにも増して生涯研修の充実拡大が必要とされています。

本講演では、昨今の医療制度改革の趣旨の理解に努めるとともに、薬剤師の生涯学習の提供体制やその質の保証に関する現状を概説したいと思います。
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