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平成21年度実施状況(第121~126回)



第121回│耳、鼻、のど、みみよりな話

実施日 平成21年5月14日(木曜日)18時00分〜20時00分
講師 日本大学医学部付属練馬光が丘病院 耳鼻咽喉科 科長 生井明浩
耳鼻咽喉科は、耳、鼻、咽頭、喉頭さらには頭と頚部の腫瘍性病変を診る診療科です。それゆえに聴覚、嗅覚、味覚などの五感や嚥下や気道としての咽喉(のど)、そして発声に関係した喉頭など様々の部位の疾患に携わります。耳は、ご存知のように聴覚を司りますが、それ以外に平衡感覚の役目も担います。そのため耳の病気からめまいをきたすこともあります。嗅覚と味覚は、食事を美味しく食べるためにも欠かせないものですが、最近の偽装食品などを見破る必要性のある現代社会では、特に重要な感覚といえます。歳をとると食べ物を飲み込んだ後に、むせたりすることが多くなります。これは咽頭(のど)と喉頭(のど)のつなぎ目に問題があるというのは本当でしょうか?カラオケで上手く歌うには声帯を上手に使うことが重要です。声帯は喉頭にあります。これらの事柄を理解するために、一般の方々や、薬剤師の方々に知っておいていただきたい、耳鼻咽喉科の器官の解剖、生理、病態、対処法などについて解説いたします。

第122回│夏の漢方治療

実施日 平成21年7月9日(木曜日)18時00分〜20時00分
講師 日本大学医学部 内科学系統合和漢医薬学分野 准教授 矢久保修嗣
暑い夏がやってくる。異常気象も原因のひとつであろうか、以前よりも体感温度は上がっているような気がする。暑い夏、生体にはどのような影響があり、漢方ではこれをどう考え、どう治療するのだろうか。

漢方では、生体の外環境に関して寒・燥・湿・暑・火・風という6つの基本的な原因(外因)を考えている。これらの外因が生体に対して風・寒・暑・燥・湿・火をイメージする病態を発症するというものである。

夏であるという自然界の環境は、6つの外因の中からは暑や湿であると考えられる。暑によって生体は熱感を感じ、体温の上昇を抑制するために発汗を行う。これにより生体はエネルギーを消耗するとともに、生体内の水分を失い脱水になる。飲食物は水分気の多いものや冷たいものを多量に摂取するようになる。ときには、湿度の高い我が国では充分な発汗ができず、熱がこもってしまう場合もある。疲労感、全身倦怠感、食欲不振など症状の出現する。いわゆる夏バテである。これに対する現代医学の治療は、ビタミンの補給くらい。漢方には生体の機能を高めて、元気にしていく補剤というものがある。これは効くぞ。

最近では外因として寒もみられる。エアコンを原因とする冷え症の増悪や、冷房病といわれるものだ。冷房病は夏の外気の暑さと、エアコンの冷気に満たされた室内の温度差に起因する自律神経失調症状などである。生体の冷えすぎを防ぐことが重要。生体を温めることは、漢方の得意分野だ。

そのうえ、夏の暑い環境による生体の衰弱、エアコンの冷たく乾燥した冷気。これらが原因となってカゼを発症することもある。夏のカゼは寒いときのカゼとは、病態が異なる。夏の暑さが発汗を誘導してしまうからだ。カゼには葛根湯、というだけの治療では不適切。暑い夏に適した漢方薬を選択しよう。

ここでは夏にみられる夏バテ、冷房病、夏カゼに対する治療を中心に漢方治療のストラテジーを紹介したい。

第123回│使える医療情報の探し方

実施日 平成21年9月10日(木曜日)18時00分〜20時00分
講師 慶應義塾大学病院 薬剤部課長代理 椎名宏吉 氏
「叔母から、ひざの痛みに『サメの軟骨』の服用を相談された。どう答えようか」
「免疫グロブリン70g/日のオーダーが出た。疑義照会してもそれで良いと言う。ギランバレー症候群で使用するらしいのだが、そんな使い方あるのだろうか」
「最近処方動向が変わったかと思ったら、メーカーによる医局の勉強会があったらしい。そこで紹介された論文はどのようなもので、どの程度信頼できるのだろうか」

薬剤師であるあなたは、毎日いろいろな疑問が沸いては消えていきます。消えていく前に、「ちょっと調べてみようか」と思うこともあるかもしれません。見つかることもあるし、見つからないこともあるでしょう。見つかったとしても、それが正しいのか、信頼してよいのか、あるいは他にもっと良い情報があるのではないか、と不安になることもあるでしょう。もしかしたら、たまたま見つかった情報をそのまま鵜呑みにしてしまうことが多いのではないでしょうか。

情報を得ることが勝負だった時代は既に過ぎています。インターネットの普及により、情報を得ることは格段にたやすくなっているからです。これからは、溢れる情報の中からいかに役立つ情報を見つけるか、見つけた情報をいかに評価するか、そしていかに利用するかが勝負です。

良い情報を見つけるためには、ちょっとしたコツがあります。そのためには良い情報をある程度選別できる必要があります。見つけたい情報を具体的に思い描くことが出来たら、もうほとんど見つけられたようなものなのです。

本講座では、「使える」医療情報をみつけるためのコツ、そのためのちょっとした評価法を中心に、情報を探す前の準備から、MEDLINE(PubMed)や他の様々な情報源の賢い使い方、評価の実際、日頃の情報収集法などについて、時間の許す限りお話ししたいと思います。

第124回│薬物乱用—最近の乱用事情と薬理学的背景

実施日 平成21年11月12日(木曜日)18時00分〜20時00分
講師 日本大学薬学部薬理学ユニット 教授 伊藤芳久
「薬物は、適正使用により人類の健康維持のために大いに貢献するものであることは間違いない。しかし、その用法を誤ったり、不適切な使用をすれば、一部の薬物はたちまち「悪魔の報酬」と化して、薬物依存を引き起こし、人類の健康や、社会・国家の安定を脅かす。また、医薬品とは関係がないMDAやMDMAのような「脱法ドラック」なども巷に蔓延しているのも現状である。このように、薬物の乱用は全世界で広がりを見せており、人類が抱える最も深刻な社会問題の1つとなっている。日本も例外ではなく、最近では大学生による大麻の違法所持・乱用・栽培が大きな社会問題になり、複数の大学における学生の逮捕が連日新聞・テレビ等で報道されたことは記憶に新しい。また、一部の芸能人の覚醒剤や脱法ドラックの使用も深刻で、連日報道がなされている。覚せい剤などの薬物乱用は、暴力団関係者やその周辺の一部に限らず、一般市民の日常生活の間近に忍び寄っており、特に中学生・高校生、さらには小学生までもが危険な薬物を乱用するといったこれまでにない状況をもたらし、薬物乱用の低年齢化も深刻さを増している。

薬学関係者の中でとりわけ薬剤師は、このような薬物乱用に対する大きな抑止力となることが期待され、学校薬剤師等として地域の学校を含め様々な機会で薬物乱用撲滅運動を続けている。今回は、これから薬物乱用撲滅運動に携わろうと考えている薬学関係者を中心に考え、薬物乱用に関連する薬物依存や報酬効果、退薬症状、探索行動などに関する知識および乱用薬物の有害作用について薬理学的観点から話してみたい。

第125回│医療連携における薬剤師の役割とは −具体的な方策を考える−

実施日 平成22年1月21日(木曜日)18時00分〜20時00分
講師 総合高津中央病院薬剤部 部長 宮崎美子 氏
ここ数年間で医療連携へのさまざまな取り組みが地域で定着しつつあり、医療連携は地域医療推進のキーワードとなっています。そもそも医療連携は平成12年4月の診療報酬改訂での評価を機に行政誘導で進展してきました。平成18年4月には医療機能の分化・連携の推進を目的に医療計画制度の見直しが行われ、脳卒中、がん、小児救急医療など事業別に地域の医療連携体制を構築し、地域連携クリティカルパスの普及等を通じ、いわゆる「切れ目のない医療」の提供の実現が具体化されてきました。

この年の診療報酬改訂で「地域連携診療計画管理料」、「地域連携診療計画退院時指導料」が新設され、平成20年にはこれらの診療報酬の見直しが行われました。具体的にはがん、脳卒中、急性心筋梗塞、糖尿病の4疾病と、小児救急を含む小児医療、周産期医療、救急医療、災害医療、へき地医療の5事業と在宅医療(終末期医療を含む)に対応する医療連携強化の必要性が盛り込まれました。これらは国民の要望に答えるべく、加速度的に整備を促されてきたものです。このような背景において、地域医療連携への薬剤師の関わりは果たしてどうであったでしょうか。患者に最も近い「かかりつけ医療機関」を中心とした地域での医療・福祉機能に薬剤師はどこまで関わることができるか、本教育講座ではその現状と課題、今後の展望を考えてみたいと思います。

第126回│診断群分類に基づいた急性期包括医療制度(DPC)

実施日 平成22年3月11日(木曜日)18時00分〜20時00分
講師 沼田脳神経外科循環器科病院 院長 安達直人 氏
2003年に新しい保険請求方式として導入された「診断群分類に基づいた急性期包括医療制度(DPC)」について解説する。DPC制度は将来の急性期医療を担うべく、現在すでに約1300の急性期病院が導入しており、近いうちに大多数の急性期病院を網羅することになる。

従来の保険請求は出来高算定方式であり、個別に算定した入院基本料・検査・処置・投薬・注射などの点数を単純に加算して総請求点数を算出していた。しかし長期入院や過剰な検査・注射などが必然的に起こり、このような過剰な保険請求が爆発的な医療費増加をもたらし続けてきた。この医療費増加を抑制すべく医療保険行政上の解決策として登場したのが、いわゆる「まるめ請求制度」といわれる急性期包括医療制度である。

「まず各疾病を主病名・副傷病・手術・処置などにより診断群分類する。そして各診断群分類ごとに、全国の平均請求点数と平均在院日数を基準として算出された1日当たりの包括点数を入院日数に応じて加算する。その点数に各医療機関に設定された医療機関別係数を乗じて、総包括点数とする。」

この文章を一読してその請求方式をすぐさま理解される方はおられまい。本講演の主題はまさしくこのDPC制度の概要をポイントにそって分かりやすく解説する。特に投薬・注射については、使用目的(入院治療で使用するのか、手術・検査で使用するのか)によってその算定方式が異なってくる。

急性期病院に勤務する保険薬剤師はもちろんのこと、院外処方箋を取り扱う保険薬剤師にとってもこの新しい医療保険制度を理解しておくべきであろう。
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