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平成24年度実施状況(第139~144回)



第139回│国家試験対策だけのTDMから脱けだそう!−Easy TDMによる数式にとらわれない投与設計−

実施日 平成24年5月10日(木曜日)18時00分〜20時00分
講師 香川大学医学部附属病院 副薬剤部長 福岡憲泰
薬剤師の職能を発揮できる業務の1つに薬物血中濃度モニタリング(TDM)があげられる。TDMの基礎研究に関する報告は多いものの、臨床業務にTDMが十分に活用されているかどうかについては疑問が持たれる。実際、人手の問題や薬剤管理料が限られているため採算が合わないことやTDMは理解し難いものと思われがちなことなどから、TDMが特定の施設に限られて行われている現実は否定できない。

薬物治療において効き目の理論的な評価には体内での薬物動態学が不可欠である。薬剤師は薬物動態の基本的な考え方を服薬指導など多くの日常業務に活用することによってそれらの業務の説得力を増すことができる。薬学部では薬物動態学を学び、6年制実務実習においても「薬物動態」の理解と応用が到達目標にあげられ、その臨床活用が求められている。その一方で、国家試験対策に添った内容で理解するためか、難しい理論や数式が先行することが多く臨床での活用が難しくなっているようにも思われる。

TDMは個人差を補うために必要な手段であり、臨床では抗菌薬療法を初めとして多くの投与設計に活かされている。しかしながら、そのツールの多くが個々の商品に特化した解析ソフトであり、汎用性の高いものは少ないように思われる。TDMの一番の受益者は患者さんであり、自分に適した投与量、投与方法が設定されることで副作用の心配がなく、かつ薬の効果が最大に発揮されるような治療となる。TDMを普及させるためには多くの病院薬剤師や調剤薬局薬剤師が簡便に使えるような解析ソフトも必要と思われる。

本講座ではTDMについて6年制実務実習で感じたこと、また、香川県TDM研究会で既にプロトタイプ版を作成している解析ソフト「Easy TDM」についても紹介し、臨床におけるTDMのさらなる活用について考えてみたい。

第140回│下部尿路症状(LUTS)の薬物治療

実施日 平成24年7月12日(木曜日)18時00分〜20時00分
講師 稲城市立病院 副院長 松崎章二
下部尿路症状(LUTS:lower urinary tract syndrome)は排尿症状と蓄尿症状に分類されます。排尿症状とは排尿時に係わる症状で、尿勢低下、尿線途絶、排尿遅延などがあり、前立腺肥大症が代表的な疾患です。蓄尿症状とは蓄尿時に係わる症状で、頻尿、尿意切迫感、尿失禁などがあり、過活動膀胱の症状が一般的です。近年、下部尿路に関する排尿生理の研究の進歩に伴い、下部尿路疾患の治療薬が次々に開発されています。前立腺肥大症に対するα1受容体遮断薬、頻尿症・過活動膀胱に対する抗コリン薬、そして選択的β3アドレナリン受容体作動薬が挙げられます。これらの薬剤は組織選択性に優れていますが、基礎疾患を有する高齢者に抗コリン薬を投与する際は、有害な副作用の発現にも注意が必要です。

日本排尿機能学は2002年に40歳以上を対象とした調査で、過活動膀胱の症状が12.3%(810万人)に認められ、その53%に治療が必要なこと、加齢とともに過活動膀胱の有病率は増加し、80歳以上の高齢者では36.8%であったと報告しました。我が国は超高齢化社会に入り、今後もLUTSを有する患者の増加が予想されます。また患者さんからは生活の質を重視する医療が求められています。我々泌尿器科医にとって、LUTSの治療は重要な領域になってきました。臨床医の視点から下部尿路症状の診療と薬物治療を説明します。その中には、薬剤の選択に苦慮したケース、調剤薬局からの処方確認の連絡でヒヤリとした事例などがありますが、皆様の参考になれば幸いです。

第141回│医療現場からの報告 − サプリメントと病態や医薬品との相互作用

実施日 平成24年9月6日(木曜日)18時00分〜20時00分
講師 ビオセラクリニック 薬剤部長 酒井美佐子
国民の3人に1人が日常的に利用していると言われる「サプリメント」は、英語の「dietary supplements」に由来し、栄養補助食品、健康食品とも言われています。国内では、「普通の食品よりも健康に良いとして販売される食品」を健康食品と称しますが、特別用途食品、特定保健用食品、栄養機能食品を除いては、法律上(薬事法および食品衛生法)の定義はありません。このため、ほとんどのサプリメントは「いわゆる健康食品・サプリメント」となり、「食品」に分類され、多くのサプリメントは新聞やテレビの通信販売、インターネット、口コミによって購入されています。しかし、海外では、「食品」よりも「医薬品」のように扱われているものが少なくなく、目的に応じて「摂取量」「摂取方法」「副作用の有無」「注意事項」「禁忌」「医薬品との相互作用」など注意の必要な健康食品・サプリメントが多く存在しています。海外では、そのような必要な情報を医療従事者が把握し、消費者に正しい知識を伝えています。The Journal of the American Botanical Councilによると2008年度のアメリカでの(ビタミンミネラルを除いた)ハーブサプリメント売上ランキングは、クランベリー、大豆、ガーリック、ソーパルメット、ギンコ、エキナセア、ミルクシスル、セントジョーンズワート、薬用ニンジン、ブラックコホシュの順番になっており、国内でも需要頻度の高い素材と思われます。

本講座では、メディカルサプリアドバイザー(NHPインナーナショナル認定)薬剤師として、これらに関する適切な情報を消費者に提供している医療現場の現状や、病態や服用中の医薬品で気を付けるべきサプリメント、フォローすべき検査値など、具体的にアドバイスしていることを紹介します。

第142回│チーム医療における薬剤師の役割 −栄養・感染管理を通して−

実施日 平成24年11月1日(木曜日)18時00分〜20時00分
講師 日本大学薬学部 薬物治療学研究室 教授 林宏行
少子高齢化社会が到来し医療の在り方は変化を余儀なくされている。限りある財源やマンパワーで最大の機能を発揮する必要性がある。効率的かつ安全で質の高い医療を提供するためには、各医療職種が役割分担を見直しチーム医療を推進する必要がある、と言われている。特に抗菌治療や栄養治療において薬剤師の関与が強く求められる。

抗菌治療においては、Craigらが示したPK/PD(Pharmacokinetics, PK)(Pharmacodynamics, PD)理論に順じた抗菌剤の適切な投与方法に対する処方鑑査が必要である。この理論の背景にはMIC(minimum inhibitory concentration)を意識した投与量の決定が不可欠である。MICは施設毎、菌種毎に異なるため細菌検査室との連携が重要である。また抗菌治療では宿主の免疫能に応じた薬剤の選択が必要である。特に高齢者はリンパ球の質的・量的低下が認められるなど易感染性でありうる。臓器障害を持つ症例も多く副作用に留意しながら殺菌能を持つ抗菌薬を十分量投与することが必要となる。

一方、宿主の免疫能は栄養状態に関連する。しかし侵襲期の過剰栄養は高血糖に関連し、これは感染症治療にも負の影響をおよぼす。ビタミンや微量元素を適切に配合しながら高血糖に至ることのない栄養供給が必要である。薬剤師は、TPN(total parenteral nutrition)を無菌的に調製する任務がある。ただしTPNだけではbacterial translocationが惹起する。僅かでも腸を使った栄養投与が望ましい。他の医療スタッフと連携し、静脈栄養および経腸管栄養を併用しながら患者病態を見据えた適切な栄養供給に関与しなければならない。経腸管栄養では腸管蠕動亢進剤が使われたり、食事では吐き気や嘔吐対策の薬物療法も行われる。この際には薬剤師のアイデンティティを発揮し迅速かつ的確な薬物療法の情報提供に務めるべきである。

第143回│これからのセルフメディケーションとOTC医薬品

実施日 平成25年1月17日(木曜日)18時00分〜20時00分
講師 日本OTC医薬品協会 顧問 西沢元仁
日本OTC医薬品協会では、その創設以来「セルフメディケーション」の普及に取組み、既に20年余りを経過しているが、生活者への普及はあまり芳しくない。一つには、セルフメディケーションというカタカナ用語が長すぎる事であり、もう一つはその内実が日ごろから生活者が意識することなく取り組んできていることだからである。

さて、我が国では戦後いち早く環境衛生等の改善と共に、国民皆保険制度の整備が進み、優れた医療サービスを極めて廉価に入手できる、世界でも稀な国となった。その結果の一つと目されているものは、世界に冠たる長寿である。一方、戦後一貫して減少している出生率と相まって、我が国人口の急速な少子高齢化は、世界に例を見ない速さで進行している。その一端の表れは、国民医療費の膨張、とりわけ、高齢者医療に係る支出の厖大化と、それに対する恐怖である。

このような流れは世界的なものとなっているが、その対処方策として、Responsible Self-Medication(自己管理医療)が注目されている。世界保健機関(WHO)が2000年に公刊した報告書では、Self-Medicationの現れる場面を広範に捉え、その適正な実現が総合的は保健医療の充実に繋がると示唆し、適切な専門家の支援によって入手した情報を踏まえ、生活者が自らの健康状況の改善に取り組み、その際に薬局などで入手した、或いは医師から処方された薬剤を、適切に用いることを意図している。

2006年改正の薬事法では、生活者の取組みを専門家が支援する仕組みが盛り込まれ、6年制課程に改められた薬科大学卒業生が薬剤師として登場してくる状況や、健康日本21(第二次)の実践に対応するものとなっている。

このような実践に対応するために、新たなOTC医薬品の登場も起こっている。それらの状況を俯瞰し、生活者を支援する薬剤師の姿を確認してみたい。

第144回│在宅高齢者の摂食機能障害と食・服薬の支援

実施日 平成25年3月7日(木曜日)18時00分〜20時00分
講師 日本大学歯学部 摂食機能療法学講座 教授 植田耕一郎
日本の高齢者の場合、要介護になる原因疾患の1位は脳卒中、2位が高齢による衰弱、3位転倒・骨折、4位認知症、5位関節疾患、6位パーキンソン病の順になっています。中でも、脳卒中、認知症、パーキンソン病は摂食・嚥下障害を伴い、それは生活していく上での根幹を揺るがす問題へと発展していきます。

超高齢化が進行するにつれ、寿命さえ存えれば良いのではなく、生きる質が問われるようになった今、摂食・嚥下障害が俄かに問題視されるようになりました。口から食事をする、すなわち「摂食」という当たり前な行為と機能に障害が起きると、人はどのようになってしまうのでしょうか。摂食機能障害は、機能以外にも、生活意欲を低下させ、さらに本人を取り巻く家族や介護者にも生活の負担感を増幅させていきます。

そこで、本講演では、リハビリテーションの立場から以下の事項について検討いたします。
  1. 要介護高齢者(脳卒中、認知症、パーキンソン病)の摂食機能の実態
  2. 摂食・嚥下リハビリテーションの理念と手法
  3. 誤嚥性肺炎予防のための口腔ケア
  4. 末長くおいしく、楽しく、安全な食生活を営むための支援
私は、病院勤務ですが、他に診療所、高齢者施設、在宅等の現場における要介護高齢者への食事および服薬支援の考え方と手法について、御参加の皆様からご意見をいただき、実践的な話し合いの場となれば幸いです。
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