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平成26年度実施状況(第151~156回)



第151回|生活習慣病に対する薬物療法の進歩と薬剤師の貢献
—医学への敬意・医療への感謝・研究への希望—

実施日 平成26年5月24日(土曜日)15時00分〜17時00分
講師 順天堂大学 臨床薬理学 教授 佐瀬 一洋
高齢化社会が到来し、要介護状態の主因の一つである循環器疾患に対し、その予防・診断・治療への総合的な対応が求められている。
生活習慣病に対する薬物療法の進歩は目覚ましいが、高血圧症における収縮期血圧、脂質異常症における血清コレステロール、心不全における左室駆出率、そして2型糖尿病におけるHbA1c等、いわゆるサロゲート(代用)エンドポイントを指標に承認された薬剤では、市販後に大規模試験結果で有効性や安全性の評価が大きく変わる事も稀ではなく、注意が必要である。

特に、最近相次いで発表された抗凝固薬や抗血小板薬は、部分最適と全体最適のバランスが難しい「諸刃の剣」であり、効能・効果、用法・用量、禁忌・警告・使用上の注意等の添付文書情報に加え、診療ガイドラインに対する深い理解が求められる。
一方、新薬の特許切れやジェネリック医薬品の台頭を前に、誇大広告による薬事法違反の疑いで告発される事例も報道されているが、日本発のエビデンスを求める声と、日本で実施された臨床研究に対する疑惑との間で、国際化時代における利益相反問題や産学官連携のあり方も見直されつつある。
講演者は、循環器専門医として心血管インターベンション(PCI)のトレーニングを受けた後、医薬品や医療機器の審査を経験し、現在では病院薬剤師とともに医学の教育、医療の実践、臨床研究の推進を続けている。

本講演では、薬学部の6年制移行と入学定員倍増に伴い、薬剤師による「医療安全とEBMを核としたチーム医療への貢献」が求められる中で、薬科大学のみでは卒前・卒後・生涯教育の完結が困難であることから、薬剤師レジデント制を含めた医療機関活用の可能性についても議論する。
病院、大学、企業、行政に限らず、保険薬局や在宅医療で活躍する全ての薬剤師に期待したい。

第152回|高齢者の口腔機能および口腔健康状態の改善と食生活の質的向上 −最近の研究成果−

実施日 平成26年7月12日(土曜日)15時00分〜17時00分
講師 日本大学松戸歯学部 有床義歯補綴学講座 教授 河相 安彦
歯科の2大疾患は、急性・慢性の歯質崩壊である「う蝕」と、歯周組織に原発しその形態や機能を侵す「歯周病」である。これらの疾患は加齢因子に依存し、歯の喪失につながり、その延長線上に口腔機能(摂食・咀嚼・嚥下)と栄養の低下がある。歯科医療はう触と歯周病の疾患に対する口腔健康改善の医療と、摂食・咀嚼・嚥下の機能低下に対する口腔機能改善の医療と位置づけることができる。

超高齢化社会に呼応し、平成18年度に介護保険法が改正され、要支援・要介護高齢者で口腔機能が低下した者に、口腔機能の維持および向上を目的とした公的サービスが導入されたが利用率は低く、栄養改善(0%)、口腔機能向上(1.5%と極端に低い。その理由として、「提供手順・必要書類・煩雑な手続き」などが指摘され、改訂とサービス提供方法の見直しが行われ、運動、口腔、栄養の複数のサービスを有機的に提供する複合サービスが平成24年度の介護報酬改定により新設された。

しかし、口腔関連プログラムの効果は口腔関連プログラム単独の実施では限界がある。そこで上記の口腔関連プログラムと他のプログラムとを合わせた、複合プログラムの実施が効果的ではないかという仮説の基に検証した結果、複合サービスを実施した対象者は、開眼片足立(運動関連)、BMI・食事摂取状況など(栄養関連)、口腔関連QOL・咬合圧・接種可能食品など(口腔関連)および発熱回数の減少、生きがい感など(その他)に見られるように、広範な項目について、単独サービスと比べて、有意に改善されたと報告されている。

一方、最終的ゴールである「食生活自立と質の向上」をアウトカムとした詳細かつ長期的な効果の検証はいまだ不十分であり、今後の研究モデルは、高齢者をライフステージに類型し、研究課題の調査と検討を行なっている。本講座ではその成果を概説し、薬学領域との関わりについても触れて行きたいと思います。

第153回|構造式のつぶやきを聞く

実施日 平成26年9月20日(土曜日)15時00分〜17時00分
講師 帝京大学薬学部 有機化学研究室 教授 高橋 秀依
学生の面倒をみていただいている薬局や病院を訪問して名刺を渡すと、「有機化学ですか。学生時代から苦手でした。」と顔をしかめられることが多くあります。普段の薬剤師の業務には有機化学はほとんど使われない、必要ない、と言った声もちらほら聞こえてきます。本当に有機化学は薬剤師の仕事に役立たないのでしょうか。私は、有機化学が大学で学んだ基礎的な学問として完結してしまっている現状をとても情けなく思っています。ごく最近まで、イギリスでは、薬剤師はChemistと呼ばれていました。この言葉が象徴するように、薬剤師の基本は化学のはずです。なぜ、薬剤師は化学から遠ざかってしまったのでしょう。もし、薬剤師が化学に親しみ、構造式から得られる情報を使いこなすことができたなら、もっと高度な薬剤師として活躍できるのではないでしょうか。チーム医療が大事と盛んに言われていますが、医師や看護師から求められているのは、医薬品を化合物として正確に理解し、その化学的、物理的特性も含めて臨機応変に医薬品の適正使用に貢献できる薬剤師ではないかと思います。有機化学は、薬剤師にとって最も大切な武器の一つになるはずです。

今回の講演では、がんの薬を題材にして、医薬品の化学構造式からどんなことがわかるか、それを元にしてどんな応用ができるのか、考えてみたいと思います。臨床現場で活躍されている薬剤師の先生方が、化学構造式のつぶやきに耳を傾けるきっかけになれば幸いです。

第154回|閉塞性呼吸器疾患におけるステロイド抗炎症薬感受性の低下
-気道炎症関連キナーゼをターゲットとした新規治療薬開発を目指して-

実施日 平成26年11月15日(土曜日)14時30分〜16時30分
講師 日本大学薬学部 機能形態学研究室 教授 木澤 靖夫
ステロイド抗炎症薬と長時間作用型アドレナリンβ2受容体刺激薬(LABA)の配合吸入剤登場により、気管支喘息の管理治療は多くの患者で良好になった。しかしながら、気管支喘息患者の5~10%はステロイド治療に抵抗性を示し重症化することが知られている。一方、気管支喘息と同様に気道炎症が症候の背景にある慢性閉塞性肺疾患(COPD)は、大半の患者にステロイド抗炎症薬が奏功しないため治療を困難にしている。

本講演では、比較的最近コンセンサスを得た気道炎症に対するステロイド抗炎症薬のヒストンアセチルトランスフェラーゼ阻害およびヒストン脱アセチル化酵素の集積に基づく作用機序を解説し、喫煙が発症の主因であるCOPD患者における気道炎症がステロイド抗炎症薬に抵抗性を示すメカニズムについて、タバコ主流煙曝露モデル動物を用いた私共の実験結果を交えて概説する。さらに、気道炎症のステロイド感受性は炎症誘発キナーゼが関与することが明らかとなってきたので、私共が参画している気道炎症関連キナーゼをターゲットとしたステロイド治療抵抗性COPDおよび気管支喘息に対する新規治療薬開発の一端についても紹介する。

第155回|誰でも一気にスキルアップ ~がん疼痛治療~

実施日 平成27年1月24日(土曜日)15時00分〜17時00分
講師 埼玉県立がんセンター緩和ケア 科長 余宮 きのみ

皆さんへのメッセージ

がんは心身ともにつらい病気です。
でも、質の高い緩和ケアを行うことで、素晴らしい時間を過ごせるようになります。
われわれ医療者が、いかに質の高い緩和ケアを行えるか・・・これが患者、家族の人生を大きく左右します。
薬剤師は、緩和ケア診療加算を算定する緩和ケアチームの必須メンバーになっています。
今も苦しんでいる人が多くいます。90分という限られた時間ですが、“一気に、誰でもスキルアップできる時間”にしたいと思います。

今回は最も頻度が高く、早期から出現するがん疼痛についてお話しします。
がん疼痛といえば、オピオイド鎮痛薬を中心としたWHO方式がん疼痛治療法です。
そして、誰もが困るのが、オピオイドを増量していっても眠くなるばかりで和らがない痛みです。こうした一見、難しい痛みも、きちんとアセスメントをすることで、スーッと解決の糸口をみつけることができます。
どんな場合にも質の高い疼痛治療を行えるようになる秘訣、それは、
  • きちんとアセスメントすること、そして
  • アセスメント内容に応じた治療のバリエーションを広く持つことです。
今回は、特に、アセスメントについてお話ししながら、目から鱗が落ちる解決の糸口についてお話しします。

第156回|薬局・薬剤師のための法的知識

実施日 平成27年3月14日(土曜日)15時00分〜17時00分
講師 弁護士 赤羽根 秀宜
近年、チーム医療や在宅医療が推進されるなか、薬剤師や薬局が様々な業務を行うようになってきています。このような状況は、職能拡大が進んでいるという意味では素晴らしいことですが、一方で薬剤師や薬局の責任が重くなることも意味します。また、平成26年6月には、薬剤師法が改正され薬剤師の調剤時の情報提供義務に加えて「必要な薬学的知見に基づく指導」義務が追加され、医薬品医療機器等法(旧称「薬事法」)も改正されました。これらの改正によって、薬剤師や薬局に今まで以上に専門性や判断が求められるようになりました。さらに、近年、消費者の権利意識が高まっていること等もあり、今後、薬剤師や薬局に対して、法的責任を問われる場面が増加することが予想されます。

薬剤師や薬局が法的責任を回避するためには、義務を尽くしておくことが必要ですが、その義務が薬剤師法や医薬品医療機器等法の改正で変わりました。この改正の趣旨を理解しておかなければならず、理解した上で業務を行うことは、患者さんの利益にもなるはずです。また、万が一、調剤過誤を起こしてしまった時など、トラブルに巻き込まれた際に適切な対応をとるためには、基本的な法的知識を理解しておくことが必要不可欠です。

以上のとおり、基本的な法的知識は、法的責任の回避や、万が一の際の対応にも必要になります。そこで、この講座では、薬剤師や薬局において知っておくべき最低限の法的知識について解説します。
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