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平成27年度実施状況(第157~162回)



第157回|「小児と妊婦・授乳婦」二つの認定薬剤師制度が目指すもの

実施日 平成27年4月18日(土曜日)15時00分〜17時00分
講師 新百合ヶ丘総合病院 薬剤部 薬剤部長 小髙 賢一
小児、妊婦・授乳婦と聞いて「薬に関する話はあまり聞いたことがないなぁ。」と思われる薬剤師の方は多いのではないでしょうか。私自身も小児と周産期の病院である国立成育医療研究センターに平成20年4月に赴任した時、この領域は薬剤師向けの学習機会が少ないことに愕然としました。妊婦・授乳婦については日本病院薬剤師会の認定制度ができたため、徐々に増えていますが、小児領域の講習会は現在でもほとんどありません。

先生方もご存じのように小児領域の薬物療法は適応外使用等の問題があり、調剤方法や服薬指導時の説明についてどのように行ったらよいか分からず迷うことも多いかと思います。子ども達の理解力や服薬の能力は年齢に比例しません。患児毎に調剤や服薬指導に工夫が必要となります。

妊婦又は妊娠を希望している婦人は薬の服用が胎児へ影響することを過剰に心配しています。授乳婦は自分が服用した薬が赤ちゃんにどう影響するかこちらも過剰に反応します。
薬を飲んだことだけで母乳育児の中止を指示する医師も存在します。

このように小児、妊婦・授乳婦に対する服薬指導は非常に重要です。添付文書の内容をそのまま説明しているだけでは、患者さんを間違った状況に誘導してしまうことがあります。患者さんは心配だけが膨れ上がり、その人の一生を左右するような結果を招くこともあるかもしれません。

我々薬剤師は妊婦さんや妊娠を希望されている女性たちに薬のプロとして適切な助言をする必要があります。子ども達が病気にかかると保護者の方たちも不安で一杯になります。子ども達にとっては親の落ち着いた態度や優しさが何よりも良い薬になることでしょう。ここは薬剤師の力が大いに発揮できる場面だと思います。まずはこの領域に関心を持っていただき、認識を新たにするような講義をしたいと考えています。

第158回|時間薬物治療を考える
〜薬・サプリメントは何時飲めば良いのか?〜

実施日 平成27年6月27日(土曜日)15時00分〜17時00分
講師 日本大学薬学部 健康衛生学研究室 教授 榛葉 繁紀
生体における臓器機能の発現の多くは、時刻に従って大きく異なることが知られている。このような臓器機能の日内変動は疾患の発症にも深く関与し、疾患の中には、発症しやすい時刻が決まっているものが少なくはない。また薬物治療の観点においても、薬物代謝酵素やアルブミン産生量は日内変動を示し、投与した薬物の効果に影響を与えることが予想できる。したがって患者における概日リズムを把握し、それに基づいた投薬設計を行うことでより効果的な、そしてより副作用が少ない薬物治療「時間薬物療法」を遂行することができる。例えばHMG-CoAレダクターゼ量が夜間に増加することから、この酵素をターゲットとしたスタチン系薬物の夜間の投与が多く行われている。すなわちシンバスタチン2.5mgならびに5mg投与は、朝夜いずれの投与においてもLDLコレステロール(LDL-C)や中性脂肪を効果的に減少するが、その程度は夜間の方がより高い。この投与時間依存的な効果の増大はロバスタチンやプラバスタチンに関しても認められる。また時間薬物療法は一部のがん治療においても成果が確認されており、特に副作用の発現減少や手術時の輸血頻度や合併症の減少に大きな効果をあげている。

このように時間薬物療法の有効性は、一部の疾患において認められているが、臨床上は未だ一般的であるとは言い難い。それに対してサプリメントや化粧品の分野においては、朝用、夜用などの言葉が用いられるように時間を意識した製品が多く登場してきている。これは一般にサプリメントや化粧品などは効果の違いを感じにくい場合が多いが、生理機能の概日リズムを利用することでより明確にその違いを感じることができるためである。

本講演では、概日リズム形成の仕組み(体内時計)、生理活性物質の日内変動と疾患との関係、そして時間薬物療法の成功例の紹介を行う。

第159回|スキンケアと健康 −上手な化粧品の使用と薬剤師の役割−

実施日 平成27年9月5日(土曜日)15時00分〜17時00分
講師 日本大学薬学部 薬品物理化学研究室 教授 藤井まき子
化粧品は、薬機法において「人の身体を清潔にし、美化し、魅力を増し、容貌を変え、又は皮膚若しくは毛髪をすこやかに保つために、身体に塗擦、散布その他これらに類似する方法で使用されることが目的とされているもので、人体に対する作用が緩和なもの」と定義されています。また、薬用化粧品は、化粧品と類似の使用を行う医薬部外品です。化粧品にはメイクアップのみでなく、スキンケア用品、シャンプーや歯磨きなど広範囲のものが含まれます。

上手なスキンケアは、美容上のメリットのみでなく、健康な生活を維持するうえで重要であることがわかってきました。今回は、日常的に広く用いられるサンスクリーン剤と保湿剤を中心に化粧品の有用性についてお話します。サンスクリーン剤には紫外線吸収剤と紫外線散乱剤が含まれ、光老化を防ぐことができます。その機能はSPFとPAによって示されています。その測定方法と、サンスクリーン剤の選択や使用方法のポイントについて説明します。皮膚の保湿には、水分だけでなく、脂質や自然保湿因子がバランスよく存在することが重要です。不足する成分を補うことにより、乾燥によるかゆみを防いだり、アトピー性皮膚炎の再発を抑制したりすることができます。化粧品や薬用化粧品は医薬品のように疾病を治療するものではありませんが、皮膚状態を良好に保ち、病気を防ぐうえで有用です。

一方で、薬用化粧品の配合成分による有害事象が報告されています。使用期間、用法は使用者に委ねられています。インターネット上では安全性に問題がある使い方も提案されています。作用が緩和ということですが、安全に使用する知恵も重要です。

化粧品の多くはドラッグストア・薬局においても販売されています。薬剤師が上手な使用方法を提案したり、危険な使用方法を防いだり、有害事象の早期発見に努めることは多くの人々のQOLの改善につながると考えられます。

第160回|在宅医療における薬物療法の留意点

実施日 平成27年11月14日(土曜日)15時00分〜17時00分
講師 医療法人社団 至高会 たかせクリニック 理事長 高瀬義昌
在宅医療の対象患者は、その大部分が高齢者ということもあり、様々な疾患を抱え、複数の診療科で処方を受けてきたケースが多く見られる。在宅医療開始時に、処方された薬をまとめて見てみると、必ずしも適切とは言い難い量になっていることも珍しくない。高齢者の5剤以上の服用で転倒の発生頻度が上がり、6剤以上の服用で薬物有害事象の頻度が上がるといった研究データもあり、多剤併用には注意すべきである。

認知症患者においては、飲み忘れや飲み間違い、服薬拒否等があるため、薬の総量を減らし、1日複数回の服用を1回に変更するなどの調整をしていくことで、服薬コンプライアンスの維持をはかることが重要である。特に、レビー小体型認知症は向精神薬などの薬剤に対する過敏性があり、一般的に適正量とされている量を処方すると副作用やせん妄のリスクが高くなることが多いため、注意が必要である。厚生労働省の粗推計によると、後期高齢者の潜在的な飲み忘れ等による年間薬剤費は500億円にものぼるとのことなので、薬物の最適利用は経済的側面からも期待されるところが大きい。

また、薬剤の量だけでなく、その種類にも留意すべき点がある。例えば、高齢者へのベンゾジアゼピン系の薬剤の処方である。厚生労働省が2013年に策定した「かかりつけ医のためのBPSDに対応する向精神薬使用ガイドライン」においても、ベンゾジアゼピン系抗不安薬は「原則使用すべきでない」と記載されている。このように注意喚起されるのは、薬効の立証が不十分であると共に、せん妄を誘発したり、筋力低下による転倒骨折を招いたりするリスクがあるためである。

服薬管理をはじめとして、在宅医療現場では多職種でのチーム・モニタリングが重要であり、そのためのカウンセリングやコーチングも丹念に行う必要がある。

第161回|高齢者における向精神薬の使い方

実施日 平成28年1月23日(土曜日)15時00分〜17時00分
講師 筑波大学大学院人間総合科学研究科 教授 水上勝義
向精神薬とは、精神症状の治療に用いられる薬剤の総称であり、この中には、抗精神病薬、抗うつ薬、抗不安薬、睡眠薬、抗てんかん薬などが含まれる。加齢に伴う、代謝・排泄能の低下、感受性の亢進、血液脳関門の脆弱化などのため、高齢者では副作用のリスクが高まる。また認知症や脳器質性疾患では、脳内の神経伝達系が障害のため、向精神薬の副作用が強調されやすい。

高齢者に対しては認知機能障害、運動障害、自律神経機能障害等の副作用に注意が必要である。アセチルコリン伝達系は、注意機能や記憶と密接な関連があるため、この伝達系の阻害で認知機能の低下が出現しうる。運動障害に関しては、抗ドパミン作用による錐体外路症状が問題となる。定型抗精神病薬は、錐体外路症状が現れやすい。フェノチアジン系抗精神病薬には抗コリン作用も認める。非定型抗精神病薬は錐体外路系の副作用リスクは低減しているが、耐糖能異常に注意が必要である。また認知症患者に用いた場合、脳血管障害や死亡のリスクが指摘されている。抗うつ薬のなかで、三環系抗うつ薬はとくに抗コリン作用が強い。またアドレナリンα1受容体阻害作用によりめまい、起立性低血圧、排尿障害を引き起こすことがある。セロトニン選択的再取り込み阻害剤(SSRI)やセロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害剤(SNRI)は三環系抗うつ薬に比較して抗コリン作用が軽い。ただしSSRIは消化管出血のリスクに注意が必要である。またSSRIは併用薬の代謝を阻害することがある。ベンゾジアゼピン系薬剤は、抗コリン作用、筋弛緩作用、持ち越し効果による日中の傾眠などに注意する必要がある。高齢者はベンゾジアゼピン系薬剤に対する感受性が増加しておりとくに慎重に投与すべきである。

高齢者に向精神薬を使用する場合、安全性への配慮が最も重要である。

第162回|地中海式食事様式をいかした全職種が利用できる
食事指導・評価ツール

実施日 平成28年3月12日(土曜日)15時00分〜17時00分
講師 公益財団法人東京都医療保健協会 練馬総合病院 副院長 柳川達生

1. 地中海式食事様式とは

地中海沿岸地方の住民は心血管疾患が少ないことが知られ、その後の研究で糖尿病、癌、認知症も少ないことが報告された。1960年ころの地中海沿岸地域の食生活が大きな要因であり、地中海式食事様式として知られるようになった。その概念は地中海式ダイエットピラミッドに示されている:全粒粉のパン、パスタ、芋類などを主食とし、野菜や果物、豆類、ナッツ類などの食品を多くとり、オリーヴオイルを主たる脂肪源とする。低脂肪の乳製品や魚介類、鶏肉を週に数回とり、赤身の肉は少量にとどめ、グラス1−2杯のワインを飲むスタイルが基本である。またこの食事様式は和食にも取り入れることができる。

2. 地中海式食事様式の評価

地中海食遵守度の評価ツールとして様々な「地中海スコア」が提唱されている。豆、魚、野菜等の食材ごとに摂取量に応じた点数の基準を決める。合計したスコアが高いほど地中海式食事様式を遵守していると評価する。スコアが高いほど糖尿病、癌、心血管疾患発症等の抑制が多数報告されている。また経口血糖降下剤の効果が期待できる。我々は「地中海スコア」を参考として、日本の食生活に適した食事評価ツールを作成し「地中海式健康和食スコア」と命名した。患者さんが現在の食事状態を評価し、よりよい食事療法をめざしていくべき指針とし、管理栄養士以外の職種にもツールを利用して患者指導可能となることが目的である。そこでスコアを評価するため糖尿病患者さんの体格、検査データと「地中海式健康和食スコア」との関連を横断調査した。HbA1cとスコアには関連を認めなかったが、スコアの高い患者さんはHDLが有意に高く(メタボでない代謝状態)、ALTが有意に低く(脂肪肝でない)、健康的な食事をしていることが示唆された。

3. 今後の課題

地中海式健康和食スコアが高くなるように食事指導し糖尿病を改善させるか検証する。講演、地中海食料理教室等を通じて和食とは異なった食文化の楽しみを広げていきたい。
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