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令和3年度実施状況(第186~188回)



第188回|高齢者における抗菌薬適正使用のポイントと高齢者に特化した施設でのAST活動について

実施日 令和4年2月24日(木)19時30分~21時00分
講師 順天堂大学医学部付属順天堂東京江東高齢者医療センター
薬剤科 宗 村盛 先生
高齢者は生理機能が低下していることが多く、薬を投与する際に薬物代謝および排泄に注意が必要であり、腎機能の適切な評価を理解することが大切です。また高齢者は筋肉量が少なく、血清クレアチニン値が低いこともあり、見かけ上腎機能が過大評価されることも多々あります。抗菌薬は腎排泄の薬剤が多く、薬剤の選択や投与量に注意が必要なのでその大切なポイントをお話ししたいと思います。
また高齢者は感染症治療においては標準治療を行っても改善しないケースが多々あります。その理由としてフレイル(加齢とともに心身の活力(運動機能や認知機能等)が低下し、複数の慢性疾患の併存などの影響もあり、生活機能が障害され、心身の脆弱性が出現した状態)があります。特に高齢者で発症しやすく、感染症治療の大きな妨げになります。このような点を踏まえて、当院は高齢者に特化した医療機関であるので、AST(Antimicrobial Stewardship Team)活動の内容と、特徴をお話ししたいと思います。特に高齢者でフレイルと関連の深い亜鉛欠乏症についてお話ししたいと思います。

第187回|分子標的治療薬の基礎と最近のトピックス

実施日 令和3年10月20日(水)19時30分~21時00分
講師 日本大学薬学部 分子標的治療学研究室
准教授 片山和浩 先生
20世紀終わりに登場した分子標的治療薬は、2010年代に入り目覚ましい発展を遂げてきました。今なお新たな治療薬が指数的に登場しており、開発競争の激化と治療選択の拡大がみられます。本講座では分子標的治療薬の基礎に立ち返り、その実態を把握し、肺がんを例に治療効果と問題点、がん治療のパラダイムシフトについて講演します。
分子標的治療薬は、抗体医薬品と低分子化合物に分類されます。前者は抗体そのものが医薬品となっており、その実体はタンパク質です。したがって、変性などの問題があり固形化することが難しく、注射剤が主体です。一方で後者は化学物質であり、錠剤や注射剤などに調整することが比較的容易です。これらの医薬品について一般的な特徴や作用機序に触れ、分子標的薬の基礎を概説します。また昨今話題となっているがん免疫療法について、分子機構を簡単に紹介します。
分子標的治療薬による治療例では、薬剤の選択幅が広く使用方法が確立されている非小細胞肺がんに焦点を当てて解説します。非小細胞肺がん患者で最も高頻度に変異を認める遺伝子はEGFR(ヒト上皮成長因子受容体)ですが、今回は治療成功率が最も高いALK(未分化リンパ腫キナーゼ)変異陽性非小細胞肺がんを取り上げて、ALK阻害薬の治療効果について臨床試験結果等を用いて説明します。また、ALK阻害薬に対する薬剤耐性と耐性克服方法に関する最新の知見や、ALK阻害薬の肺がん治療以外への応用について紹介します。
分子標的治療薬の開発はこれまで「がん」を中心に進んできましたが、近年はパーキンソン病やアルツハイマー病など多くの疾患でも治療薬の開発が進んでいます。また、COVID-19に対する抗体カクテル療法も登場したこの機会に、分子標的治療薬について再確認することを期待しています。

第186回|臨床で役立つPKPD初歩の初歩

実施日 令和3年6月30日(水)19時30分~21時00分
講師 日本大学薬学部 薬剤師教育センター 
教授 辻 泰弘 先生
ロケット
ひとたび発射ボタンを押すと、計算通りに宇宙へ向かって進んでいきます。(一部、そうでない場合もありますが。)
くすりの効果
同じように投与したとしても計算通りの結果が得られない(個人差があるからこそ医療は難しい)

望んだ治療効果を得るためには、ターゲットとする薬理効果を発揮する薬物が体内の適切な組織に適切な量で存在しなければなりません。薬剤選択に関わる部分である薬理効果に対する興味の比重は大きいのですが、薬剤を選択した後にどのように患者に応じた個別化投与設計をするのか、ということに対する興味は希薄です。個々に応じた薬物投与量・投与スケジュールを決めるというよりは、添付文書やガイドラインに従った画一的な投与がなされていることがほとんどではないでしょうか。薬物動態を把握するためには、いつ、どこの組織・臓器にどの程度の薬物量が存在しているのかを知る必要があります。しかし、私たちは生体内に存在する薬物の量を直接知ることは出来ません。そこで、薬物量を直接知る代わりに、採血・測定を行い薬物血中濃度の情報を得ています。得られた薬物血中濃度は、さらに次の薬物血中濃度の推移を予測するために用いられ、投与量を決定するために用いられます。また、薬物血中濃度の推移は治療効果や副作用発現の推移と結びついているので、薬物血中濃度を予測することが可能になれば、最終的に治療効果や副作用発現についても予測することが可能になります。
本講習では、薬剤師業務・臨床研究を実践していく上で重要となる、薬物動態(PK)の基本的な事項について、カラダの仕組みを考えながら理解することを目的にしています。
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