令和4年度実施状況(第189~192回)
第189回|免疫疾患における薬剤師の現在と今後の役割 ~関節リウマチを中心に~
実施日 | 令和4年6月29日(水) 19時30分~21時00分 |
講師 | 亀田クリニック 薬剤室 亀田ファミリークリニック薬剤室 平田 一耕 先生 |
免疫疾患は症状が患者の生活の質に直結し、治癒ではなく疾患をコントロールすることが治療の目標とされてきました。近年では生物学的製剤や低分子免疫抑制薬であるヤヌスキナーゼ阻害薬の登場により、免疫疾患の薬物治療が大きく変化し、疾患活動性の改善が認められてきています。一方で作用機序の異なる薬剤が数多く上市されたことにより、臨床における薬物治療は非常に複雑になってきています。免疫疾患でこれらの治療薬が使用されるのは、膠原病では関節リウマチ、脊椎関節炎、乾癬性関節炎、ベーチェット病、全身性エリテマトーデス、消化器内科では炎症性腸疾患である潰瘍性大腸炎、クローン病、皮膚科ではアトピー性皮膚炎、乾癬などが主な疾患となります。薬物治療は疾患によりオーバーラップするところもあれば、特定の薬剤の使用により増悪・発症する免疫疾患もあります。よって薬物治療における薬剤師の役割が重要であり、疾患が複数の診療科にまたがる場合や、薬物治療に難渋する患者における薬剤師の役割はより大きくなっています。
本講演では主に関節リウマチを中心として、免疫疾患における薬剤師の過去から現在までの役割を概説します。また演者の自験例を紹介しながら、薬学的視点からの疾患の理解、病態生理から薬理作用を考慮した薬剤選択、ヨーロッパリウマチ学会で2013年よりリコメンデーションされている共同意思決定の実際についてご紹介します。さらには今後、薬剤師に期待される役割について皆様とビジョンを共有できればと思います。
本講演では主に関節リウマチを中心として、免疫疾患における薬剤師の過去から現在までの役割を概説します。また演者の自験例を紹介しながら、薬学的視点からの疾患の理解、病態生理から薬理作用を考慮した薬剤選択、ヨーロッパリウマチ学会で2013年よりリコメンデーションされている共同意思決定の実際についてご紹介します。さらには今後、薬剤師に期待される役割について皆様とビジョンを共有できればと思います。
第190回|命をみつめて ~多死社会に向けて~
実施日 | 令和4年9月21日(水) 19時30分~21時00分 |
講師 | 鈴鹿医療科学大学保健衛生学部 教授 一般社団法人日本救急救命士協会 会長 鈴木 哲司 先生 |
わが国の医療技術の進歩・発展によって平均寿命は大幅に伸び、世界有数の長寿大国となりました。そして時代は、『少子超高齢社会』から『多死社会』の到来を迎え2025年には、死者数は150万人を超えると予測されています。年間150万人の死者数とは、大東亜戦争中のインドの死者数と同じであり、戦争をしていない日本で戦時中と同じ数の人々が死んでいく国になるのです。そして、2030年には約160万人、ピ―クは2040年の約170万人なると予測されています。
現在の限りある病床数の中で『多死社会』を迎えると、そこから溢れ出た患者は『病院で死ねない』状況に陥ります。つまり、これからは『在宅死』が確実に増えていくことになります。国は、このような時代を迎えるにもかかわらず病院のベッド数を削減して医療費増大を抑制する対策を次々と行っています。
私達の日常生活から死をできるだけ切り離して見ないように過ごし、死は全て病院任せにしてきたのが今日です。しかし、時代の変遷とともにお家で看取らざるを得ない状況が刻一刻と近づいてきているということです。
戦後から今日までの日本は、死が社会から排除され、できるだけ死のことを考えずに、今の自分さえよければよいと大量消費社会で快適な生活のみを追い求めて過ごしてきたのではないでしょうか。これからの時代『QOD(死の質)』の向上が重要とされこの分野は、もはや医療の世界ではなく宗教者が関与すべき問題です。しかし、伝統的宗教の神職や僧侶は儀式中心の活動が主となり、「人が死んだらどこへいくのか」という宗教の根本的な問いに対して明確な指標や教え導くことを必ずしも積極的に行ってきませんでした。
本講演では、神職であり救急救命士である演者から神道の『死生観』や『生命観』について触れ、わが国の『看取り文化』を知り『死』は悲しくて怖いものではないというイメージを身につけていただければ幸いです。
現在の限りある病床数の中で『多死社会』を迎えると、そこから溢れ出た患者は『病院で死ねない』状況に陥ります。つまり、これからは『在宅死』が確実に増えていくことになります。国は、このような時代を迎えるにもかかわらず病院のベッド数を削減して医療費増大を抑制する対策を次々と行っています。
私達の日常生活から死をできるだけ切り離して見ないように過ごし、死は全て病院任せにしてきたのが今日です。しかし、時代の変遷とともにお家で看取らざるを得ない状況が刻一刻と近づいてきているということです。
戦後から今日までの日本は、死が社会から排除され、できるだけ死のことを考えずに、今の自分さえよければよいと大量消費社会で快適な生活のみを追い求めて過ごしてきたのではないでしょうか。これからの時代『QOD(死の質)』の向上が重要とされこの分野は、もはや医療の世界ではなく宗教者が関与すべき問題です。しかし、伝統的宗教の神職や僧侶は儀式中心の活動が主となり、「人が死んだらどこへいくのか」という宗教の根本的な問いに対して明確な指標や教え導くことを必ずしも積極的に行ってきませんでした。
本講演では、神職であり救急救命士である演者から神道の『死生観』や『生命観』について触れ、わが国の『看取り文化』を知り『死』は悲しくて怖いものではないというイメージを身につけていただければ幸いです。
第191回|感染制御・感染症診療における薬剤師の役割
実施日 | 令和4年11月9日(水) 19時30分~21時00分 |
講師 | 東京大学医学部附属病院 薬剤部 山口 諒 先生 |
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行により、これまで前進していた薬剤耐性菌対策が後退してきているとの調査結果が明らかになっています。世界では毎年70万人以上が薬剤耐性菌感染症で死亡しており、その数は2050年までに年間1000万人に達し、がんによる死亡者数を上回るという報告もあります。薬剤耐性菌の抑制には感染制御と感染症診療の両面からのアプローチが必要となり、その中で感染対策チーム(ICT)および抗菌薬適正使用支援チーム(AST)における薬剤師の果たすべき役割が重要となってきています。
ICTおよびASTにおける薬剤師の役割として、定期的なラウンドを通した感染対策の実施状況の把握や支援、抗菌薬及び消毒薬適正使用の推進、メディカルスタッフへの手指衛生指導、他施設との感染対策の情報共有などが挙げられます。特に、2018年度の診療報酬改定において、感染防止対策加算に加え抗菌薬適正使用支援加算が新設されたことを契機に、ASTの組織化と専任及び専従者の配置が求められ、抗菌薬適正使用関連の業務の比重が高まっています。またコロナ禍における薬剤師業務として、コロナワクチン接種支援、COVID-19治療薬の管理、マスクなどの個人用防護具や消毒薬不足への対応、薬剤部内の感染対策の強化、学生教育への対応、地域との連携などが挙げられます。たとえCOVID-19が終息したとしても、感染症との闘いに終わりはありません。薬剤耐性菌を含めた今後の未知なる感染症に対する備えを今から積極的に進めていく必要があります。本講演ではCOVID-19や薬剤耐性菌に対する薬剤師の果たすべき役割について、当院でのICT/AST薬剤師の活動や抗菌薬適正使用を効果的に進める戦略を中心にご紹介します。
ICTおよびASTにおける薬剤師の役割として、定期的なラウンドを通した感染対策の実施状況の把握や支援、抗菌薬及び消毒薬適正使用の推進、メディカルスタッフへの手指衛生指導、他施設との感染対策の情報共有などが挙げられます。特に、2018年度の診療報酬改定において、感染防止対策加算に加え抗菌薬適正使用支援加算が新設されたことを契機に、ASTの組織化と専任及び専従者の配置が求められ、抗菌薬適正使用関連の業務の比重が高まっています。またコロナ禍における薬剤師業務として、コロナワクチン接種支援、COVID-19治療薬の管理、マスクなどの個人用防護具や消毒薬不足への対応、薬剤部内の感染対策の強化、学生教育への対応、地域との連携などが挙げられます。たとえCOVID-19が終息したとしても、感染症との闘いに終わりはありません。薬剤耐性菌を含めた今後の未知なる感染症に対する備えを今から積極的に進めていく必要があります。本講演ではCOVID-19や薬剤耐性菌に対する薬剤師の果たすべき役割について、当院でのICT/AST薬剤師の活動や抗菌薬適正使用を効果的に進める戦略を中心にご紹介します。
第192回|TDMに関わるときに意識してほしいこと ~臨床展開を支援するために~
実施日 | 令和5年2月22日(水) 19時30分~21時00分 |
講師 | 日本大学薬学部 病院薬学研究室 教授 福岡 憲泰 先生 |